━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【CULTURE】乾燥した大陸で喉を潤す
オージーはみんなビール好き
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 一人あたりのビール消費量では、つねに世界の十指に入るのがオーストラリア。世界一乾燥したこの大陸では、喉ごしの良いビールは人々にとって必需品だ。
 そんなオーストラリアのビールの特徴は「おらが州のビール」があるということ。代表的なのはニュー・サウス・ウエールズ州のカールトンやトゥーイーズ、ビクトリア州のビクトリアビターやフォスターズ、クイーンズランド州のフォーエックスやパワーズなど。ほかにも、タスマニア州のカスケード、南オーストラリア州のクーパーズ、西オーストラリア州のスワン、エミューエクスポートといったビールも人気がある。
 かつてこうしたビールは、その州へ行かなければ飲めなかったのだが、現在ではビール会社の統廃合、販売網の全国化などにより、どの都市でもたいていのビールは手に入るようになった。それに伴い大都市圏では「おらが州のビール」という意識が崩れつつあるのも事実。フォスターズ、ビクトリアビター、フォーエックスなどは今や全国区の人気といってもいいだろう。ちなみにこの3種は、日本のデパートの酒類売場や大手酒店でも手に入るのでチェックしてみよう。
 気になる味のほうだが、じつは日本人好みのテイストが多い。あまり冷やさずに飲むイギリス風ビターエールとは異なり、ほとんどがキリッと冷やして飲む日本でもおなじみのラガー(15世紀にドイツの修道院で考案された下面発酵ビールの一種)だ。ビクトリアビターも「ビター」と名が付くものの実際にはラガーである。
 一方、そんなラガー主流のオーストラリアで、静かに人気を集めているのが南オーストラリア州でつくられているクーパーズエール。エールは、紀元前3500年頃のメソポタミアではじめてつくられたビールの流れをうけつぐ、上面発酵ビールの一種だが、クーパーズエールは、オーストラリアのエールの代表格。風味豊かな味が特徴だ。このクーパーズエールは、フォスターズなどに比べて数は少ないものの、最近、日本での輸入販売も始まっている。
 オーストラリア各地にあるパブでは、こうしたビール以外に自家製ビールを出すところもある。もっとも代表的なのがシドニーのザ・ロックスにあるロード・ネルソン・ホテル。ここは1834年開業というオーストラリア最古のホテル兼パブで、6種類の自家製エールが自慢だ。中でもスリー・シーツと名が付けられたエールは、芳醇な香り、豊かなコクを持ち、これまで数多くの賞を受賞している。
 ちなみにオーストラリア各地にあるパブの大部分には、ロード・ネルソン・ホテル同様「ホテル」という名が付いている。これはオーストラリア開拓初期の頃の名残。当時、酒場は夕方6時までしか営業してはならないという法律があった。ただしホテルに対しては「宿泊客には夕方6時以降でも自由に飲食のサービスをしてもいい」という例外規定があったのだ。これを逆手に取ったのがパブ。パブの2階にわずか数室、それも申し訳程度の客室をつくって、「ホテル」を名乗り、夕方6時以降酒を飲みたい人にはチェックインさせるという方法を考え出した。一部屋に何人チェックインしようがお構いなし。どうせ誰もホテルの部屋は使わず、酒を飲んでいたのだから…。その後、酒場に対しても酒類サービスの時間制限は撤廃されたが、各「ホテル」は別に名前を変える理由もなく(あるいは実際にホテル業も営み)、現在にいたっているというわ けだ。

※オーストラリアのビールについて、より詳しい情報は下記ホームページへ。
http://www.australianbeers.com/

オーストラリア政府観光局 編集・発行
旅メールマガジン『月刊・旅たびOZ(オージー)』6月号
公式ホームページ(日本語)http://www.australia.jp/