中年夫婦の35日間オーストラリア旅行記

一万キロのバスの旅

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◆バスの中で(その一)
いよいよバスが走り出す。まず運転手が、運行スケジュール、車内の禁酒、禁煙のルールなどを説明する。これが、日本人が乗っていることなどまったく頓着なしに(あたりまえ)、早口のオージー・イングリッシュでやるのだから、非常に分かりづらい。
禁煙はあたりまえだが、お酒もだめ、酒類の持ち込みも酒気帯びでの乗車も原則として禁止されている。あるとき、深夜に止まった街でかなりの酔っ払いが乗車を待っているのを目にして、いやだなと見ていると、運転手が乗車を拒否した。ルールをはっきりと守らせる厳格さには感心した。

Greyhoundバスはひたすら走る。40〜50人乗りのバスの座席は意外に狭い。特に前の座席との間隔が狭く、我々短足族でも窮屈だ。大柄な足長のオージーは、脚を折りたたむようにして座っている。
帰国して後、東京、神戸間を高速バスで往復したが、日本のバスのほうが実にゆったりしている。座席も柔らかい。それなのに、オーストラリアで何ともなかった尻が、わずか8時間の東京、神戸で痛くなった。どうも『人間工学』的には、オーストラリアのバスの方が身体に合っているのか・・…。

通常4、5時間に1回、10〜15分のトイレやリフレッシュのための「レスト・ストップ」と、食事のための「ミール・ストップ」(40〜50分)がある。小生の場合、レスト・ストップはほとんど Smoking Time で費やした。
運転手の案内に耳を傾け、出発の乗車時刻を確認する。これがまた聞き取りにくい。
'Ten past Eight' が、どう聞いても、「テン・パスト・アイト」に聞こえる。
発車の前に乗車人員はいちいち確認しているが、おいて行かれることがないとはいえない。2度、3度と聞き返すことが必要だ。

ミール・ストップは、大きな街の場合はバス・ターミナルの、そして小さな町の場合はガソリン・スタンドに併設された、ビュッフェ・スタイルのレストランで取られる。
レジでオーダーを取り、セルフ・サービスで席に着くか、テイク・アウトするのだが、ほとんど1人か2人の少人数で対応しているため、時間がかかる。早めに列に並び注文しないと、食べる時間がなくなってしまうケースもある。

車内では、深夜を除いてビデオの放映がある。一日走り続けるのだから、いろいろなジャンルの映画が何本か放映される。もちろん音声は英語で字幕スーパーもないが、柔らかい映画が多いのでほとんどが何とか話の流れくらいは理解できる
音声はスピーカーで流れていて、自分の座席近くのスピーカーの音量を調整できるようになってはいるが、音量が大きすぎることもあり、うるさいと感じる乗客もいる。
ある便で、「教育一家」という感じのインド系の親子連れ4人が乗ってきた。彼らは、乗車直後から熱心に読書を始める。子供も、いかにも難しそうな本を読んでいる。
昼間、コメディ・タッチのビデオの放映が始まり、話も佳境に入ってかなり賑やかになってきたところで、奥さんが立ち上がり運転手二言、三言。運転手がビデオのスイッチを切ってしまった。
後ろの方でブーイング。若い男の子が運転手に文句を言う。運転手は、他のお客様から要望があったのでやむを得ず……とでも言っているのだろう。そのまま、その便ではビデオの放映はないままに終わってしまった。
その奥さんは、一切無言。ちょっと、いやな感じの「教育ママ」だった。

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